2022年9月現在、ミシュランガイドに掲載されている日本食のカテゴリーは?

ミシュランスター獲得を目指して日本食レストランを経営している方にとって、どのようなカテゴリーの日本食が星やビブグルマンを獲得しているか、気になるところだと思います。寿司、天ぷら、懐石、ラーメンなどの日本料理を代表するカテゴリーを含め、じつに20以上のカテゴリーがミシュランガイドに掲載されているのです。

この記事では、ミシュランに掲載されているカテゴリーについて、ひとつずつ説明していきます。(ミシュランと日本食レストランに関して興味がある方は、コチラの記事もお薦めです)

1. 日本食のカテゴリーで星やビブグルマンを獲得しているお店の国別リスト

2022年9月現在、ミシュランガイドには3つ星店が137、2つ星店が、480、1つ星店が2657、ビブグルマン獲得店が3293店、合計6,567店が掲載されています。

この中で日本食に該当すると考えられるカテゴリーをピックアップし、2022年9月現在、星やビブグルマンを獲得している国・地域別のリストが以下の通りです。

  Three Stars Two Stars One Star Bib Gourmand Total
Japan 15 54 227 291 587
France 0 1 6 6 13
UK 0 0 2 1 3
Italy 0 0 2 0 2
Spain 0 0 8 0 8
Germany 0 1 6 1 8
Andorra 0 0 0 0 0
Austria 0 0 1 1 2
Belgium 0 0 1 0 1
Brazil 0 1 4 0 5
China Mainland 0 0 0 0 0
Croatia 0 0 0 1 1
Czech Republic 0 0 0 0 0
Denmark 0 0 0 0 0
Dubai 0 0 1 3 4
Estonia 0 0 0 0 0
Finland 0 0 0 0 0
Greece 0 0 0 0 0
Hong Kong 1 0 7 4 12
Hungary 0 0 0 0 0
Iceland 0 0 0 0 0
Ireland 0 0 1 0 1
Luxembourg 0 0 1 1 2
Macau 0 1 0 0 1
Malta 0 0 0 0 0
Netherlands 0 0 2 0 2
Norway 0 0 1 0 1
Poland 0 0 0 0 0
Portugal 0 0 1 0 1
San Marino 0 0 0 0 0
Serbia 0 0 0 0 0
Singapore 0 2 5 1 8
Slovenia 0 0 0 0 0
South Korea 0 1 6 8 15
Sweden 0 0 1 0 1
Switzerland 0 0 3 2 5
Taipei & Taichung 0 1 9 0 10
Thailand 0 0 2 1 3
USA 1 3 40 20 64
Total 17 65 337 341 760

※数年前からグリーンスターという新しい評価軸も導入されましたが、グリーンスター獲得店は星獲得店やビブグルマン獲得店と重複することも多いため、今回は3つ星、2つ星、1つ星、ビブグルマンの4つのカテゴリーのみを対象に計算しています。

3つ星、2つ星、1つ星、ビブグルマン獲得店の合計6,567店の中で日本食に該当すると考えられる店舗は760店、じつに全体の11.6%を占めています。

国別でみると、760店舗のうち、日本が587店と全体の77.2%を占め、続いて米国が64店(8.4%)、韓国が15店(2.0%)、フランスが13店(1.7%)と続いています。

平均予算をみてみると、1000円程度(7USD)で食べれる店もありますが、平均予算600USD以上の高級店もあり、ミシュランに掲載されている日本料理店の価格帯は非常に幅広いと言えます。

2. ミシュランに掲載されている日本食のカテゴリーは?

では、この760店舗はミシュランにどのようにカテゴライズされているのでしょうか。どこまで日本食か、判断が難しいところではあるのですが、各カテゴリーごとにまとめたリストが以下の通りです。

※760店舗の中のほとんどは1つのカテゴリーに選ばれていますが、一部のお店は複数にカテゴライズされているため(例: Japanese, Sushi)、カテゴリーの総数は814になっています。

  Three Stars Two Stars One Star Bib Gourmand Total
Anago / Saltwater Eel 0 0 0 1 1
Beef Specialities 0 0 3 0 3
Chankonabe 0 0 0 2 2
Chicken Specialities 0 0 0 2 2
Crab Specialities 0 0 1 0 1
Curry 0 0 0 18 18
Fugu / Pufferfish 0 1 3 0 4
Izakaya 0 0 1 41 42
Japanese 15 43 229 74 361
Japanese Contemporary 0 3 6 3 12
Kushiage 0 0 0 7 7
Obanzai 0 0 0 2 2
Oden 0 0 3 8 11
Okinawa Cuisine 0 0 0 1 1
Okonomiyaki 0 0 0 8 8
Onigiri 0 0 0 1 1
Ramen 0 0 3 44 47
Shojin 0 1 0 1 2
Soba 0 0 4 39 43
Sukiyaki 0 0 2 0 2
Sushi 3 13 87 19 122
Tempura 0 5 19 4 28
Teppanyaki 0 0 1 2 3
Tonkatsu 0 0 0 17 17
Udon 0 0 0 19 19
Unagi / Freshwater Eel 0 0 2 10 12
Yakitori 0 0 10 19 29
Yoshoku 0 0 0 14 14
Total 18 66 374 356 814

この814の内訳を見ると、もっとも多いのがJapanese Restaurantとカテゴリーされるお店で361、これが全体の44.3%を占めています。いわゆる正統派の日本料理で懐石料理などのお店がこのカテゴリーに入ります。次に多いのが寿司が122で全体の15.0%、ラーメンが47で5.8%と続いています。

日本食ビジネス関係者の方でも、あまり馴染みのないカテゴリーもあるかと思いますので、このあと、カテゴリーの詳細についてひとつひとつ説明していきます。

3. 日本食のカテゴリー その1

まずは、星獲得もしくはビブグルマン獲得店が、日本にも海外にも存在しているカテゴリーから紹介していきます。

〇 Izakaya

日本スタイルのpubとして広く認知されている居酒屋ですが、日本国内の39店舗と米国から3店舗(Izakaya Rintaro、Okane、Tsubaki)が掲載されています。

〇 Japanese

いわゆる懐石料理などの伝統的な日本料理のカテゴリーです。このカテゴリーに入るお店361店の内訳は、日本に235店、米国に62店、フランスに13店、スペインに8店、ドイツに7店と続いています。

〇 Japanese Contemporary

日本料理をベースにしつつ、シェフたちのユニークなアイデアが見られる創作料理のカテゴリーです。このカテゴリーに入るお店は12店舗ありますが、すべて日本国外に存在しており、スイスに3店、ドバイに2店、ドイツに2店、その他の国に5店です。

〇 Ramen

ここ10年で日本の人気大衆食として広く知られるようになったラーメン。このカテゴリーに入る47店の内訳は日本から35店、米国から8店、香港から2店、韓国から2店です。

単価も安いため、ほとんどはビブグルマン掲載店ですが、日本にある、Sobahouse Konjiki Hototogisu、Sosakumenkobo Nakiryu、Chukasoba Gizna Hachigouの3店だけが1つ星を獲得しています。

〇 Soba

穀物のそばの実を原料とするそば粉を用いた麺料理で、ラーメンやうどんとともに日本を代表する麺料理です。このカテゴリーに入る43店の内訳は、日本から39店、韓国から3店(Minami、Mimi Myeonga、Subaru)、米国から1店(Soba-ya)です。

〇 Sushi

言わずと知れた日本料理を代表する人気メニューで、このカテゴリーに掲載されている122店の内訳は、日本が60店、米国が35店、シンガポールが6店、その他の国で21店となっています。

現在このカテゴリーで3つ星を獲得しているのは、東京のSushi Yoshitake、香港のSushi Shikon、ニューヨークのSush Masaの3店です。

〇 Tempura

こちらも寿司と並ぶ日本料理を代表する人気メニューで、このカテゴリーに掲載されている28店の内訳は、日本が26店、台湾が1店(Mudan)、米国が1店(Tempura Matsui)となっています。

〇 Udon

小麦粉を練って長く切った日本を代表する麺料理です。このカテゴリーに掲載されている19店の内訳は、日本が16店、韓国が2店(Hyun UdonとKyodaiya)、米国が1店(Hanon)となっています。

〇 Yakitori

もともと屋台のストリートフードとして生まれた焼き鳥も日本料理の人気メニューのひとつです。このカテゴリーに掲載されている29店の内訳は、日本が27店、韓国が1店(Yakitori Mook)、香港が1店(Yardbird)となっています。

4. 日本食のカテゴリー Part. 2

次に、星獲得店やビブグルマン獲得店が日本にしか存在していないカテゴリーを紹介します。日本にしか存在していないカテゴリーということは、海外日本食店において需要が見込まれない、食材の確保やこのカテゴリーに長けた日本人シェフの確保が難しいということも考えれますが、一方でこのカテゴリーのメニューを作れれば、他店との差別化にもつながりそうです。

〇 Anago / Saltwater Eel

このカテゴリーで掲載されているのは大阪にあるKitahama Anagoyaというお店だけです。
江戸前の寿司のネタとしても人気の穴子ですが、この店では穴子のコース料理を楽しむことができます。

〇 Beef Specialities

日本国内にある牛肉の専門料理店3店、JO、Oniku Karyu、Nikunotakumi Miyoshiがこのカテゴリーに選ばれています。

〇 Chankonabe

ちゃんこ鍋とは相撲部屋において、日常的に食べられている鍋料理で、東京にあるChanko Kawasaki, Chanko Masuiyamaの2店がこのカテゴリーに選ばれています。

〇 Chicken Specialities

日本国内にある鶏肉の専門料理店、Toritsukune ShizendoとSEction D’orの2店がこのカテゴリーに選ばれています。

〇 Crab Specialities

東京にあるGinza Kitafukuがこのカテゴリーに選ばれています。蟹のしゃぶしゃぶやお刺身を楽しむことができるお店です。

〇 Curry

インドカレーやタイカレーなど様々なカレー料理の影響を受けて独自に進化した日本のカレーは、日本料理のひとつとして認知されています。日本国内から18店が掲載されています。

〇 Fugu / Pufferfish

鍋や刺身が美味しいことで有名なフグですが、日本国内の4店が掲載されています。フグは毒があることでも知られていますが、内蔵などの有毒部位を取り除いた「身欠きフグ」が米国やアジア向けに輸出されていることもあり、海外でも人気が高まっているようです。

〇 Kushiage

串揚げとは肉や野菜を串にさし、衣を付けて油で揚げた日本の大衆料理です。日本国内から7店が掲載されています。

〇 Obanzai

おばんざいとは、昔から京都の一般家庭で作られてきたお惣菜のことを指し、旬の素材や手近な食材を手間をかけずに作ることで、庶民に愛されてきました。京都にあるOryori MenamiとPontocho Masudaの2店がこのカテゴリーに入っています。

〇 Oden

おでんとは鰹節と昆布でとった出汁に味をつけ、薩摩揚げ、はんぺん、焼きちくわ、つみれ、こんにゃく、大根、芋、がんもどき、牛すじ、ゆで卵、厚揚げなどを長時間煮込んだ料理です。掲載されている11店舗はすべて日本国内のお店です。

〇 Okinawa Cuisine

沖縄(琉球)の郷土料理で、伝統的な味付けは塩、味噌、鰹節、昆布を多用し、日本料理に近いのですが、近隣の台湾や中国の食文化の影響も感じられるのが特徴です。東京にあるRyukyu Chinese Dining Tamaの1店舗のみ、このカテゴリーに入っています。

〇 Okonomiyaki

水に溶いた小麦粉を生地として鶏卵、キャベツ、肉、魚介類、麺類など好みの材料を使用し、鉄板の上で焼き上げ、ソース・マヨネーズ・青のり等の調味料をつけて食べる日本のストリートフードです。日本国内の8店がこのカテゴリーに入っています。

〇 Onigiri

白米をこぶしサイズに成形し、梅干し、おかか、ツナ、イクラなどを中に入れた料理で、日本のコンビニなどでも見かけたことのある人も多いかと思います。東京にあるOnigiri Asakusa Yadorokuだけがこのカテゴリーに入っています。

〇 Shojin

仏教の教えに従い、殺生を避けることを主眼として調理された料理のことで、野菜・豆類など、植物性の食材が使われます。東京のDaigo(2つ星)、京都のShigetsu(ビブグルマン)がこのカテゴリーに入っています。

〇 Sukiyaki

牛肉、ネギ、白菜、豆腐、白滝などを醤油と砂糖で焼いたり煮込んだりする料理で、一般的には溶き卵を付けて食べます。東京のIshibashi, Imafukuがこのカテゴリーに入っています。

〇 Teppanyaki

鉄板で野菜や肉、魚介類などを焼いて食べる料理で、昔から人気の日本食メニューのひとつです。大阪のTanpopoとOribeがこのカテゴリーに入っています。

〇 Tonkatsu

豚のロースやヒレのスライス肉を、小麦粉・溶き卵・パン粉をまとわせて食用油で揚げた料理です。日本国内の17店がこのカテゴリーに入っています。

〇 Unagi/ Freshwater Eel

ウナギといえば、醤油や砂糖、酒などの濃厚なたれを絡ませて焼いたかば焼きが有名ですが、ウナギ料理の専門店として、日本国内の12店がこのカテゴリーに入っています。

このうち東京にあるIshibashi、Nodaiwa Azabu Iikura Hontenがミシュラン1つ星を獲得しています。

〇 Yoshoku

19世紀後半から日本で独自に発展した西洋料理のことをYoshokuと呼びます。このカテゴリーに入る14店はすべて、日本国内のお店です。

以上、ミシュランでカテゴライズされている日本料理について解説してみました。ミシュランのカテゴリーはあくまでもひとつの指標に過ぎないのですが、どのようなメニューが日本や世界で人気があるのか、参考にして頂ければ幸いです。

こんなカテゴリーのメニューを作れる料理人を探しているのだけど、という問い合わせがありましたら、迷わず我々和食エージェントまでお問合せください!

5. 採用に困ったら?

「日本人寿司職人に向けた自分の店のアピールポイントが分からない」
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