「Jiro Dreams Of Sushi」から10年。その後10年で寿司業界はどう変わったか?

世界の寿司好きに衝撃を与えた2011年の映画「Jiro Dreams Of Sushi」が公開してからすでに10年以上が経過しようとしています。今回は、あの映画が世界の寿司業界に与えた影響と功績、そしてその後10年で寿司業界はどう変わったのか、改めて考えてみたいと思います。

1. Jiro Dreams Of Sushiとは?

銀座のオフィスビルの地下に位置し、トイレもない小さいお店にもかかわらず、世界に名だたる食通たちをうならせてきた鮨店、すきやばし次郎。このお店の店主である小野二郎氏の職人の技と人物像に惹かれた若いアメリカ人監督デヴィッド・ゲルブが、ドキュメンタリー映画を取りたいとお店に通い、言葉の通じない若い監督の情熱にほだされ、ほとんど公開されることのなかったミシュラン3つ星の高級鮨店の内側の撮影許可が下りた、非常に価値ある作品が「Jiro Dreams Of Sushi」です。

映画撮影当時、すでに80歳を超えていた小野二郎さんの鮨職人としての哲学や、偉大なる父の後を追う2人の寿司職人の息子たちとの家族関係、父を超えようと精進する息子たちや弟子たちとの師弟関係を美しい鮨の映像とともに浮かび上がらせていくこの作品は、2011年にアメリカで公開後、食通の間で瞬く間に話題となり、その後Netflixでも配信され、世界に知れ渡るようになりました。

この映画を通じて「おまかせ」や「江戸前鮨」を知った人も多く、公開から10年以上経った現在でも鮨好きのバイブル的映画として変わらぬ人気を誇っています。

2. この10年で寿司業界はどう変わったのか?

この映画公開時は2011年。あれから10年以上が経過し、映画の中で描かれていた寿司業界はどのように変わったのでしょうか。

まず何よりも、世界的な日本食ブームが起き、2010年には約3万店であった日本食レストランの数が2021年には約15.9万店と5倍に激増しました。

また、この映画の影響もあり、一度「おまかせ寿司」や「江戸前鮨」を食べてみたいという世界中の食通が来日し、高級鮨店の予約が難しくなりました。高級鮨店の予約を取るためだけに東京の高級ホテルを予約し、コンシェルジュ経由でなんとか予約を試みる人も増えました。2016年にある日本の予約サイトが1日だけすきやばし二郎の貸し切り企画を打ち出し、わずか8席の予約ページを公開したところ、あっという間に世界中から1,300人の応募があったそうです。

2014年には安倍元首相が、オバマ元大統領を誘い「すきやばし次郎」で食事をし、オバマ元大統領が「いままで食べた寿司で一番美味しかった」と感想を述べたことも話題になりました。

これまでミシュランガイド東京において、毎年3つ星の鮨店として紹介されてきた「すきやばし次郎」ですが、一般客がほぼ予約の取れないお店となってしまったことが原因で、2020年版からはついにミシュランガイドに掲載されないことになりましたが、ミシュランガイドの掲載されなかったこと自体にニュースバリューがあるため、BBCやCNNなどでも報道され、改めてその人気を世界に知らしめる形になりました。

では、2011年当時と現在ですきやばし次郎のお店はどう変わったのでしょうか。

二郎さんに認められるために卵焼きを200枚焼いた弟子として作品に登場していた、Daisuke Nakazawaさんは、2013年にニューヨークにてSushi Nakazawaをオープンし、大成功してます。また、この映画に出演していた弟子の一人であるRei Masudaさんは2014年1月に鮨ますだを青山にオープンし、すぐにミシュラン二つ星を獲得しました。

映画の中で、二郎さんの息子である小野禎一さんが自転車で仕入れに行っていた築地市場は建物の老朽化などが原因で2018年10月に閉鎖され、現在は築地から2kmほど離れた豊洲に市場が移っています。

そして、鮨業界にとって大きな懸念として挙げられるのがおまかせ鮨の花形である「太平洋黒マグロ」の枯渇です。世界的な寿司ブームの影響で乱獲が進んだからとか、温暖化の影響だとか諸説ありますが、質の良いクロマグロを手に入れるのが難しくなってきた、というのです。

2018年、小野二郎さんと小野禎一さんは日本のメディアのインタビューの中で、「昔は築地にはいいマグロがたくさんあって好きなものを買えばよかったが、今はそんなことをしていると手に入らない」「「今は”あてがいぶち”ですね。あるなかから選ぶしかない。だから、ある程度寝かせて熟成させて、旨味を引き出す技術がものをいう」と述べています。

マグロの目利きもさることながら、旨味を引き出す技術が鮨職人に今後さらに求められてくる時代になってきているようです。

映画から10年経ち、映画の出演者も市場も食材も変わりましたが、二郎さんは今現在も鮨職人としてお客様に鮨を握っています。2022年10月27日に二郎さんは97歳を迎え、その姿がyoutubeに公開されています。ちなみに今、二郎さんが好きな鮨ネタは、江戸前鮨の代表的なネタである「小肌」だそうです。

2022年現在も97歳で現役で寿司を握るSushi Legend、小野二郎さんの鮨哲学に興味のある方は、ぜひ一度「Jiro dreams of Sushi」を観ることをお薦めします!

3. 採用に困ったら?

「日本人寿司職人に向けた自分の店のアピールポイントが分からない」
「こんな人材採用したいのですが、どうやっていいかわからない」
「以前自分たちで採用活動して失敗したので、今回は人材会社で本当に良い寿司職人を見つけてほしい」
「日本語ができるスタッフがいないので、日本人採用業務を丸投げしたい」

など採用に困りごとがありましたら、和食エージェントにまでお気軽にご相談ください。

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