寿司職人のための海外転職に役立つ英文履歴書作成ガイド
海外で活躍したい寿司職人や料理人にとって、履歴書(レジュメ/CV)の作成は転職成功への第一歩です。
日本と海外では履歴書の形式や内容に大きな違いがあり、現地の採用担当者に自分の価値を正しく伝えるためには、海外仕様の履歴書作成スキルが不可欠です。
5年以上の経験を持ち、海外でシェフやスーシェフを目指す寿司職人のために、効果的な英文履歴書の書き方を解説します。伝統技術とグローバルな視点を持つあなたの強みを最大限にアピールし、世界の食文化を豊かにする一歩を踏み出しましょう。
海外向け履歴書の基本フォーマット
海外の履歴書(Resume/CV)は日本の履歴書と比べて自由度が高く、自分の強みや実績をアピールしやすい構成になっています。基本的な構成要素は以下の通りです。
1. 氏名・連絡先情報
文書の冒頭に氏名(ローマ字表記)と連絡先(電話番号・メールアドレス・所在地の都市名)を記載します。
日本の履歴書と異なり、生年月日や性別などの記載は不要です。
例:
・TANAKA HIROSHI
・Email: tanaka.hiroshi@email.com
・Phone: +81 90-1234-5678
・Location: Tokyo, Japan
2. プロフィール要約(Professional Summary)
冒頭に数行の要約を置き、経歴のハイライトや応募職種に合った強みを簡潔にまとめます。
採用担当者に「この候補者は何者か」を一目で伝える重要なセクションです。
例:
・Experienced Sushi Chef with 7 years of expertise in traditional Edomae techniques.
・Skilled in leading multicultural kitchen teams while maintaining authentic
・Japanese culinary standards. Bilingual in Japanese and English with proven
・success in high-end restaurants across Japan.
3. 職務経歴(Work Experience)
最新の職歴から逆年代順(最新→過去)に列挙し、各職歴には勤務期間、役職、会社/レストラン名、そして箇条書きで主な職務内容や成果を記載します。
例:
HEAD SUSHI CHEF | SUSHI YAMADA, TOKYO | 2020-PRESENT
・Managed a team of 5 kitchen staff, supervising daily operations and training junior chefs
・Developed new omakase menu that increased customer satisfaction by 25%
・Reduced food waste by 15% through improved inventory management techniques
・Collaborated with seafood suppliers to source sustainable, high-quality ingredients
4. 学歴・資格(Education & Certifications)
最終学歴や関連する教育課程(調理師専門学校など)と食品衛生や調理に関する資格を記載します。
例:
TOKYO CULINARY ACADEMY | Professional Culinary Diploma | 2015
CERTIFICATIONS:
・Food Sanitation Supervisor License (Japan)
・First Aid and CPR Certification
・Advanced Knife Skills Certification – Tokyo Sushi Association
5. スキル(Skills)
職務に関連する専門スキルとソフトスキルを箇条書きで列挙します。
応募先の求人内容に合わせてカスタマイズすると効果的です。
例:
TECHNICAL SKILLS:
・Edomae-style sushi preparation
・Fish butchery and filleting
・Menu development
・Inventory management
・Food cost control
LANGUAGES:
・Japanese (Native)
・English (Business Proficient)
SOFT SKILLS:
・Team leadership
・Customer service
・Creative problem-solving
・Time management
6. 追加情報(任意)
受賞歴(Awards)や業績(Achievements)、使用言語(Languages)などの項目を必要に応じて設けます。
例:
ACHIEVEMENTS:
・Featured in “Tokyo Gourmet” magazine (2022)
・Winner, Tokyo Regional Sushi Competition (2021)
REFERENCES:
・References available upon request
ページ数とレイアウト
履歴書は1〜2ページにまとめるのが一般的です。
経験豊富な寿司職人の場合、2ページ程度に収めることを検討してください。
読みやすさを重視し、十分な余白と箇条書きを活用して要点を強調します。
日本式履歴書との主な違い
1. 写真の有無
日本の履歴書では証明写真の貼付が一般的ですが、欧米の履歴書では通常写真は添付しません。
米国やカナダ、イギリスなどでは差別禁止の観点から写真添付は敬遠されています。
一方、ヨーロッパ大陸諸国やアジアの一部では写真を付ける習慣が残っています。
応募先の国の慣習を調査し、指示がない限り付けないのが無難です。
2. 個人情報の記載
海外では氏名・連絡先以外の個人的事項(生年月日、年齢、性別、婚姻状況、家族構成など)は記載しません。欧米の履歴書では、これらの情報は差別につながる可能性があるため避けるのが原則です。
3. フォーマットとレイアウト
日本の履歴書は定型フォームに沿って作成するのが一般的ですが、海外では自由形式でPC作成が標準です。日本ではA3二つ折りなど一枚両面でまとめることが多いですが、海外では複数ページにわたり詳細を書くことも許容されます。
4. 職務経歴の書き方
日本の職務経歴書では古い順に経歴を記す場合がありますが、海外の履歴書は逆時系列(新しい順)で記載します。日本では退職理由を記載する習慣がありますが、海外では記載しません。代わりに在職期間と役職、その下に業績を列挙します。
5. 自己PR・志望動機
日本では控えめな自己PRが一般的ですが、海外の履歴書では自身の強みを積極的にアピールすることが求められます。冒頭のSummary欄やカバーレターで堂々と自己PRを行いましょう。
寿司職人が強調すべきスキル
海外の高級レストランで上位ポジションを目指すには、寿司技術だけでなく総合的なスキルセットをアピールすることが重要です。
1. 寿司および和食調理の専門技術
寿司職人として培った高度な調理技術は最大の武器です。
以下のようなスキルを具体的に記載しましょう。
・魚の選別と柵取り(Expert in fish selection and filleting)
・江戸前寿司の握り技術(Masterful Edomae-style nigiri technique)
・刺身の包丁さばき(Precise sashimi cutting skills)
・寿司飯の仕込み(Specialized sushi rice preparation)
・伝統的な和食の調理法(Traditional Japanese cooking methods)
2. メニュー開発・料理創作力
上位ポジションを目指すなら、創造力も重要なアピールポイントです。
・季節の食材を活かしたオマカセコースの開発
・フュージョン料理の考案
・現地の食材を活用した創作寿司の開発経験
3. キッチン管理・リーダーシップ
シェフやスーシェフにはチームを統率するマネジメント力も求められます。
・スタッフの指揮・教育経験(何名のスタッフを管理したか具体的に)
・シフト編成や業務配分の最適化
・在庫管理や原価管理のスキル(Inventory Management, Cost Control)
4. 衛生管理・安全調理の知識
食品衛生や安全調理の知識・資格も海外では重視されます。
・食品衛生管理者資格
・HACCPトレーニング
・各国の食品衛生法規への対応経験
5. コミュニケーション能力(英語力含む)
海外で働くには言語力とコミュニケーションスキルが不可欠です。
・英語力(Professional proficiency in English など具体的レベルを記載)
・多文化環境での勤務経験
・多国籍チームでの協働経験
・複数言語能力(話せる言語とレベルを記載)
6. ソフトスキル(人格的スキル)
海外の採用担当者は技術面だけでなく人間性も重視します。
・リーダーシップ(Leadership)
・チームワーク(Teamwork)
・細部への注意力(Attention to detail)
・プレッシャー下での業務遂行能力(Ability to work under pressure)
実績やキャリアの効果的な表現方法
海外の履歴書では「何ができるか」より「何を成し遂げたか」が重視されます。
以下のポイントを意識して実績をアピールしましょう。
1. 数値で成果を示す
定量的な実績は採用側に強いインパクトを与えます。
・「新たに導入したおまかせコンセプトで月間売上を15%向上」
・「食材ロスを20%削減する在庫管理システムを導入」
・「顧客満足度を25%改善」
2. 高級店での経験
著名レストランでの勤務経験は大きなアピールポイントです。
・ミシュラン星付きレストランでの経験(Michelin-starred restaurant experience)
・五つ星ホテル内のレストランでの勤務
・著名なシェフの下での修行経験
3. チームマネジメント実績
キッチンチームを率いて成果を上げた経験を具体的に。
・「6名のキッチンスタッフを指導・監督し、オーダーの正確さを改善」
・「多国籍チームの指導経験(日本人2名、アメリカ人1名、フランス人1名)」
・「新人シェフ3名の育成プログラムを確立」
4. メニュー開発と評価
新メニュー開発とその成果を強調します。
・「季節の懐石コースを開発し、リピーター率を10%向上」
・「地元食材を活用した創作寿司メニューが地域誌で紹介される」
・「顧客ニーズに応えたベジタリアン寿司コースの開発」
5. 効率化・組織への貢献
オペレーション改善やコスト管理も重要な実績です。
・「新しい在庫管理システムを導入し、食材コストを15%削減」
・「仕込み工程を効率化し、平均提供時間を5分短縮」
・「廃棄ロスを最小限に抑える魚の保存技術を確立」
6. 受賞歴・称号
料理コンクールでの受賞や評価も堂々と記載します。
・「2022年 全国寿司コンテスト優勝」
・「ミシュランガイド東京 掲載店での経験」
・「国際和食シンポジウムでのデモンストレーション実績」
英文履歴書作成時の言語・翻訳上のポイント
1. トーンと文体
英文履歴書では簡潔かつ前向きなトーンが求められます。
・主語「I」は省略し、過去形動詞で始める箇条書きが基本
・謙虚すぎる表現は避け、自信を持った表現を使用
・過去の実績は過去形、現在の職務は現在形で統一
2. 専門用語の使い方
寿司・和食に関する専門用語は適切に説明しましょう。
・一般的な用語(sushi, sashimi など)はそのまま使用可能
・専門的な用語は英語で補足(例:nigiri sushi (hand-pressed sushi))
・英語圏に馴染みが薄い言葉には簡潔な説明を加える
3. 適切な英語表現への翻訳
日本語のニュアンスを直訳すると誤解を招く場合があります。
・「お客様に喜んでいただける料理を提供した」→「Provided high-quality dishes that enhanced guest satisfaction」
・日本語特有の敬語表現(「〜させていただきました」など)は不要
・業界知識のある第三者にチェックしてもらうのが理想的
4. 文化の違いに配慮
日本語では謙遜が美徳ですが、英語圏の履歴書では適度な自己アピールが必要です。
・客観的事実をもとに自信を持って記載
・根拠のない誇張は避け、真実のみを述べる
・フォーマルでビジネスライクな文体を維持
添え状(カバーレター)の重要性と書き方
カバーレターは履歴書とセットで提出する応募動機書・自己紹介状です。
特に上位ポジションに応募する場合、カバーレターは本気度やコミュニケーション力を示す重要なツールになります。
1. カバーレターの基本構成
・書式と長さ:A4で1ページ以内
・宛名:採用担当者名がわかれば個人名、不明な場合は “Hiring Manager” や部署名
・導入・本文・結び:ビジネスレター形式で作成
2. 効果的な書き出し
冒頭で応募職種と自己紹介を簡潔に行います。
I am writing to apply for the Head Sushi Chef position at Sakura Japanese Restaurant, as advertised on RestaurantJobs.com. With over 7 years of experience in high-end sushi preparation and kitchen management, I am excited about the opportunity to bring authentic Japanese culinary excellence to your establishment.
3. 本文の構成
2〜3段落で具体的な強みと貢献をアピールします。
・1段落目:自分のスキル・実績が応募先の求めるものとどう合致するか
・2段落目:応募先レストランのどこに魅力を感じ、自分の価値観やビジョンがどうマッチするか
・各段落は具体的な実績を織り交ぜて説得力を高める
4. 効果的な締め方
最後に応募への意欲を再表明し、面接の機会への期待を伝えます。
I am confident that my experience in traditional Edomae sushi and team leadership would make me a valuable asset to your restaurant. I would welcome the opportunity to discuss how I can contribute to your team in an interview. Thank you for your time and consideration.
Sincerely,Hiroshi Tanaka
推薦状・リファレンスおよびポートフォリオの活用
1. 推薦状・リファレンス
以前の勤務先の上司や同僚からの推薦状は、あなたの能力を第三者視点で保証するものです。
・著名なシェフやオーナーからの推薦状は大きな武器になる
・履歴書上では「References available upon request」と記載しておく
・信頼できる元上司等に事前に了承を得ておく
2. ポートフォリオ(料理写真・SNS等)
視覚的に実力を示すポートフォリオは強力なアピールツールです。
・デジタルポートフォリオ:自身のウェブサイトやInstagramなど
・印刷ポートフォリオ:面接時に持参できるよう製本したもの
・含めるべきコンテンツ:
・代表的な料理の高品質写真
・自作メニュー表やレシピのサンプル
・メディア掲載実績
・「About Me」ページ(料理哲学)
・資格証明や表彰状のコピー
3. SNS・オンラインの存在感
LinkedIn等のビジネスSNSや料理専門SNSでの情報発信も有効です。
・LinkedInに英語で職務経歴を公開
・Instagramで自分の料理を定期的に発信
・投稿内容はプロフェッショナルかつ良識的に
地域ごとの履歴書事情と文化的注意点
北米(アメリカ・カナダ)
・特徴:成果主義で簡潔な履歴書が好まれる
・個人情報:写真や年齢・性別など個人情報は記載しない
・強調すべき点:業績(Achievements)中心、数字で示す
・カバーレター:添付が一般的、熱意と適性をアピール
・リファレンス:最終選考時にReference Check(照会)あり
ヨーロッパ
ドイツ
・形式重視、時系列(古い順)で経歴を網羅的に記載
・写真や個人情報を入れるケースが多い
・カバーレター(Anschreiben)と勤務証明(Arbeitszeugnis)も重要
イギリス
・写真や年齢は基本書かない
・2ページ程度、職歴は逆年代順
・成果に加え、人柄やチーム適応性も重視
フランス・南欧
・写真付きCVが一般的
・学歴重視の傾向あり
・カバーレター(Lettre de motivation)が強く重視される
アジア圏(日本以外)
東アジア(中国・韓国など)
・写真貼付や個人情報記載が一般的
・現地語履歴書が求められることもある
東南アジア・南アジア
・シンガポールや香港などは英語履歴書が基本
・写真は必須ではないがマイナスにならない
・欧米流の成果主義履歴書が増加傾向
中東(UAE等)
・写真付き・詳細付きのCVが一般的
・推薦状の要求も多い
まとめ
海外で寿司職人としてキャリアアップを目指すには、履歴書の書き方ひとつとっても戦略的な準備が必要です。
日本式との違いを理解し、海外の採用担当者が求める情報を的確に盛り込むことが重要です。
基本フォーマットを押さえつつ、自身の強みをアピールし、実績は数字や具体例で示しましょう。
英語での表現やカバーレターの作成にも細心の注意を払い、必要に応じて推薦状や料理ポートフォリオも準備しておきましょう。
応募先の国の文化や慣習も考慮し、最適な形であなたの価値が伝わるよう工夫することで、世界に通用する寿司シェフとして新天地での成功につながります。
世界の食文化へのあなたの貢献が、新たな扉を開くことを願っています。
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しかし、日本とは違うフォーマットや英文の表現など、特に初めて英文書類を作成するのであれば大変な点も多いかと思います。
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・英語での作成に自信がない
・採用担当にもっとアピールできる内容に練り上げたい
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