日本人寿司職人の海外転職と年収について

1.昨今の日本人寿司職人の海外転職へのトレンド

近年、日本人寿司職人の海外転職が増加しています。
特に、北米、ヨーロッパ、東南アジアなどでは本格的な和食や寿司の人気が高まり、日本人寿司職人への需要が拡大しています。海外の飲食業界では、日本人ならではの繊細な技術や本場の味が高く評価され、求人市場も活発になっています。そのため、日本国内でのキャリアアップに限らず、海外での転職を視野に入れる職人も増えてきました。


私たち和食エージェントは、日本人料理人に特化したキャリアコンサルタントとして、多くの料理人の海外転職を支援しているプロフェッショナルです。また世界26カ国にクライアントをもち、16カ国に日本人料理人の採用支援実績があり、その経験から海外の年収、給与、収入などに精通しています。

そこで、今回は、皆さんが一番気になるトピックスである年収、給与、収入などについて、話していきたいと思います。

2.日本人寿司職人の給与相場

海外では日本人寿司職人にどのような転職機会があるのか?

海外では、寿司専門店、高級ホテル、ジャパニーズファインダイニングなどが日本人寿司職人を積極的に採用しています。特に、日本が比較的近く新鮮な魚が豊洲から頻繁に手に入るアジア圏(シンガポール、香港、中国など)は日本食レベルが成熟していて、日本人料理人の重要性がマーケットに浸透しているため、非常に多くの募集機会がありますし、待遇も総じて良い傾向にあります。

一方で、移住先として人気のアメリカやヨーロッパではミシュラン星付きレストランや高級店によって日本食の認知度が高まりつつあり、新規開店する「おまかせ寿司」の募集ポジションも増えてきています。それでは、海外転職した際に給与(特に手残り給与)にどのような違いがあるのか、検証していきましょう。

国内の日本人寿司職人のポジション別の給与事例

以下、日本国内の寿司職人の給与についてまとめてみました。(和食エージェント独自調整結果)

  1. ヘッドシェフ:月収40万~80万円(年収480万~960万円)
  2. スーシェフ:月収30万~50万円(年収360万~600万円)
  3. アシスタントシェフ:月収20万~35万円(年収240万~420万円)
海外での日本人寿司職人のポジション別の給与事例(アメリカ・ニューヨークの場合)

以下、海外転職した際に給与水準について、アメリカ・ニューヨークを例に取って纏めてみました。

  1. ヘッドシェフ:月収6,000~12,000ドル(年収約1,080万~2,160万円)
  2. スーシェフ:月4,000~7,000ドル(年収約720万~1,260万円)
  3. アシスタントシェフ:月収2,500~4,000ドル(年収約450万~720万円)
手取り給与の計算方法(アメリカ・ニューヨークの場合)

    日本と比べると、総支給額がニューヨークで働く方が高いことがわかりますね。
    しかしがなら、これは税金などが引かれる前の「額面」給与です
    それでは税金などが引かれた後の「手取り」給与はいくらくらいになるのでしょうか?

    アメリカでは給与から税金や保険料が差し引かれます。
    ニューヨーク州の場合、

    1. 所得税(連邦税+州税):約25~35%
    2. 社会保障税・メディケア税:約7.65%


    例えば、月収10,000ドルのヘッドシェフの場合、手取り額は約6,500~7,500ドルとなります。
    現地で生活する、ご家族を日本に残した単身赴任の方は、日本への生活費の送金など、
    税金を引いた金額の「手取り」給与から捻出しなければいけないことを忘れてはいけません。

    海外の企業が日本人寿司職人に提供する福利厚生(マレーシアの場合)

    それでは、海外の企業は日本人寿司職人に、給与以外でどのような待遇を用意するのでしょうか?
    以下では、東南アジアにあり、日本人の移住先としても人気なマレーシアの例を見てみましょう。


    マレーシアの飲食業界では日本人寿司職人に対して以下のような福利厚生を提供する企業が多いです。

    1. 住居手当(家賃補助や社宅提供)
    2. ビザ・就労許可のサポート
    3. 健康保険加入
    4. 交通費補助
    5. 帰国費用の負担

    マレーシアではヘッドシェフポジションで額面月給15,000リンギット(約50万円)が相場ですので、給与額はニューヨークの給与相場と比べると半分以下なのが分かります。その分、福利厚生で待遇面がカバーされる内容が手厚くなる傾向があります。
    収入という観点で海外転職を検討する場合は、給与額だけではなく、このようにどのような福利厚生が用意されるのかを確認し、それを考えたうえで手元に日本円でいくら残るのか、を把握することが重要です。

    3.日本と海外、どちらが手取り給与として得なのか?

    それでは、日本と海外、どちらで仕事をすることが得なのか?
    日本では給与の安定性や生活費の予測がしやすい一方、税金や社会保険料の負担が比較的高いです。また、昇給の機会もなかったり、あっても昇給額が少ないのが現実です。

    一方、海外では高い給与水準が魅力ですが、税金や生活費、ビザ取得の難易度などが国によって異なります。
    例えば、アメリカ・ニューヨークで年収1,200万円のヘッドシェフが手取りで約800~900万円となる一方、日本で年収600万円のシェフは手取り約450万円となります。よって、海外勤務の方が手元に残る金額が大きくなる可能性が高いですが、生活費や労働環境も考慮する必要があります。

    アメリカはマレーシアの様なアジア・東南アジアの国々と違い、住居手当を出す企業が少ない為、家賃などは自己負担をする必要があります。例に出したニューヨークの一人暮らし用の1Roomの部屋の家賃が約US$2,800/月(中央平均値)なので、現在の為替では40万円以上となります。なので、家賃を支払った後だと、実は住居提供がある求人の方が、手残りの金額が多くなることも良くある話なのです。

    参考)当社が作成したニューヨークの生活シミュレーション。

    simulation-NewYork-spend

    まとめ

    日本人寿司職人の海外転職は、高収入やキャリアアップのチャンスがある一方で、生活環境や税金、ビザの問題なども考慮する必要があります。
    そのため、しっかりと情報を集め、自分に合った国や職場を選ぶことで、海外での成功を実現できるでしょう。


    私たち和食エージェントには、世界26カ国に求人クライアントがおり、各国の給与相場、手取り給与シミュレーション、ビザ取得事情などに精通したコンサルタントも在籍しています。海外でのお仕事をお探しの際は、是非当社にご登録し海外転職のご相談をいただければと思います。

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